オープンキャンパス潜入!武雄アジア大学の現状と率直な感想
先日、一般向けに開放されていた武雄アジア大学のキャンパスに実際に足を運んでみました。新設されたばかりの教育機関としてどのような魅力があるのか期待していましたが、キャンパス全体を見学して抱いた率直な感想は、
「佐賀県の高校生が、あえてこの大学を進学先に選ぶのはかなりハードルが高いのではないか」
という厳しいものでした。
もちろん、新しい校舎や設備には真新しさがあります。
しかし、学生が4年間を過ごし、その後のキャリアを形成するための「学びの場」として客観的に評価したとき、すでに実績のある他県の大規模な総合大学を差し置いてまで選ぶ決定的な理由を見つけるのは困難でした。
これは決して単なる印象論ではなく、次章で解説する「学費」や「ブランド力」といった現実的な数字を比較するとより鮮明になります。
学費は福岡のトップ私大と同等?「西福」ブランドとの圧倒的な差
進学先を選ぶ際、最も重要な指標のひとつが「学費」です。
ここで、武雄アジア大学と、九州の私立大学の双璧をなす福岡大学・西南学院大学(いわゆる「西福」)の費用を比較してみましょう。
| 大学名(参考学部) | 4年間の学費総額 | 初年度納入金 | 入学金(初年度のみ) |
| 武雄アジア大学(東アジア地域共創学部) | 約409万円 | 121万円 | 25万円 |
| 福岡大学(経済学部・法学部など) | 約414万円 | 約118万円 | 20万円 |
| 西南学院大学(人間科学部など) | 約413万円 | 約122万円 | 20万円 |

一目瞭然ですが、武雄アジア大学の学費は、福岡大学や西南学院大学とほぼ変わりません。 入学金に至っては武雄アジア大学の方が高いという結果です。
一般的な「学歴(ブランド力)」や「総合大学としての施設の規模」を基準にするならば、福岡大学や西南学院大学を選ぶ方が圧倒的に有利です。
九州においてこの2校は確固たる地位を築いており、全国的な知名度、何万人にも及ぶ強力なOB・OGネットワーク、多様な学部が集まる広大なキャンパスや図書館の充実度は、新設大学がすぐに追いつけるものではありません。
就職活動においても、「西福」の学歴が九州内で不利になることはまずないでしょう。
同等の学費を払うのであれば、実績のある大学を選ぶのが自然な心理です。

もし私が現役生なら武雄アジア大学を志望校にすることはないでしょう。福岡大学か西南学院大学を志望校にするでしょう。
「大学を作れば若者が残る」は幻想。佐賀県が本当に注力すべきは「雇用と定着」
メディアの報道では「佐賀県内には4年制大学が佐賀大学、西九州大学、武雄アジア大学の3つしかない」と強調されがちです。
しかし、現実には隣接する福岡県の巨大な受け皿(福岡大学や西南学院大学など)が十分に機能しています。
そのため、無理に県内に新設大学を作る必要性は薄いと言わざるを得ません。
「若者の県外流出を防ぐために大学を作る」という声もありますが、大学を作ったところで、卒業後に魅力的な仕事がなければ若者が佐賀県に残るわけがありません。
今、佐賀県に本当に必要なのはハコモノ(大学)の建設ではなく、「雇用先の充実」と「生活基盤への直接的な支援」ではないでしょうか。

過去の成功例に学ぶ!若者に響く具体的な税金活用法
では、貴重な税金をどう使うべきか。
例えば、福岡の大学に進学した新卒学生が佐賀県に戻って就職する際、佐賀での生活に欠かせない「車の購入費用への助成金」や「手厚い待遇保障」を提供すべきです。
また、早稲田大学など東京の大学に進学した優秀な人材に対しても、東京と同様の役職や給与水準で働ける環境を佐賀県内に用意するための企業支援に税金を使うべきです。
実際、2018年に私が東京で働いていた際、地下鉄で非常に興味深い広告を見かけました。
それは「佐賀県に住んで福岡市に通勤する場合、特急券の費用は佐賀県が助成します」という内容でした。
この実利的なキャンペーンはあっという間に枠が埋まったそうです。
こうした「実際に佐賀に住むメリット」を直接的に感じられる施策にこそ、税金を活用する価値があります。
住民監査請求は当然の結果?武雄アジア大学の今後と、県立大学への警鐘
最近の報道によると、武雄アジア大学への補助金支出に対して、武雄市民から住民監査請求が提出されました。
- Q住民監査請求とは?
- A
住民監査請求とは、自分が住む自治体の「税金の無駄遣い」や「違法なお金の使い方」に対して、住民が「適切か調査して見直してほしい」と求めることができる制度です。市民が行政を監視する大切な権利です。
一人の佐賀県民の目線から見ても、現状は明らかに税金の無駄遣いと映り、市民が怒の声を上げるのは当然のことだと感じます。
厳しい意見かもしれませんが、これ以上の税金投入を防ぐためにも、来年度以降の学生募集を停止し、最終的には閉校も視野に入れるべき時期に来ているのではないでしょうか。
現在の在学生については、福岡等の他大学への編入・受け入れ支援を責任を持って行う必要があります。
そして、空いた立派な建物は、起業家やリモートワーカー向けの「巨大コワーキングスペース」など、現代の働き方に合わせた施設として有効活用する道を探るべきです。

週末に武雄図書館に行くと机はほぼ埋まっています。
平日は武雄高校の生徒が勉強するため、埋まっているそうです。
さらに懸念されるのが、2029年4月に開学が予定されている「佐賀県立大学」です。
根本的な雇用問題や他県大学との競合という現実から目を背けたままでは、武雄アジア大学と全く同じ結果を招くことは火を見るより明らかです。


まとめ:佐賀の未来に必要なのは「ハコモノ」ではなく「人への直接投資」
武雄アジア大学の現状と学費を比較して見えてきたのは、
「大学を新設すれば若者が定着する」
という考えが、いかに現場のニーズから乖離しているかという厳しい現実でした。
福岡大学や西南学院大学とほぼ同額の学費でありながら、ブランド力や就職時のOB・OGネットワークで圧倒的な差がある以上、学生が他県に流れるのは必然です。
住民監査請求が起きるほど市民の理解を得られていない状況を見れば、新設大学への莫大な税金投入は見直されるべき局面にあります。
佐賀県が本当に向き合うべきは、2029年の県立大学新設といった「ハコモノ行政」ではありません。
「マイカー購入補助」や「福岡への特急通勤助成」、そして「東京水準の給与・役職の用意」といった、若者が佐賀で生活し、働くための「直接的な支援」です。
限られた財源を正しく雇用と定着のために投資することこそが、佐賀県の未来を切り開く唯一の道ではないでしょうか。




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